2012年07月02日

いたや楓の笊

皆さんはこんな事あります?
日々の仕事などで使っている無くてはならない大切にしている道具。 そんな道具との出会いを思い出すとき、なんか胸がキュンってなることが…

私のそんな無くてはならない道具ってのがコレ。 そう、蕎麦を盛る笊です。

そば屋に必ずあるお品書きは「もりそば」です。
その蕎麦を盛る器は各店それぞれ…

蕎ノ字のそばを盛る器は笊です。 お店をオープンさせるときに購入しました。
今回は同じものをもう一度、秋田県の職人さんに作ってもらうように注文しました。



今使っているものが壊れた訳ではありません。 10年使い続けています。
丈夫なんです。
ざるそばの笊って、竹を使うお店が殆どではないかと思います。

うちの店は木で作って頂いてます。 木の材質は
詳しくは「いたや楓の木」です。

独特な方法と根気仕事で、竹よりもはるかに丈夫な道具を作り出す職人さんが秋田県にいます。
工芸品というよりは、雪国の人が山仕事や農作業で実際使うガンコな道具なんです。

壊れた訳ではなく、この職人技な道具が無くなってしまう前に、手元に残しておきたかったんです。





この笊に使ういたや楓の木は樹齢20~30年のほっそりした楓の木を使うそうです。
「20年で太くなる木は折れやすくて、手にざわざわしてよく編めんです」とのこと。

雪が来る前に自ら山に採りに行くそうなので、今回も夏のうちに注文しました。
10年前の蕎ノ字オープンにときは、一年以上前に注文した記憶があります。
店の図面も完成してない時点での、多分いちばん始めに発注をかけた蕎ノ字の道具だったように記憶してますよ(笑)

この職人さんは、もうかなりのお年です。
お客様で「この笊欲しいので紹介して」と言われたこともありますが、ご本人さんの希望もあってお断りしております。

出来上がるまでに長い事かかるので、気長に待つつもりですよ。
「何年でも待ちますから」と伝えておきました…

10年前、完成の知らせを頂いたとき
「あなたが蕎麦屋を続けるのであれば、一生使ってください。 コイツがほつれたら捨てずにオレの処に送り返してくれ。また直して使えるようにしますから…」

その言葉に、自分のような若者が使ってもいいのだろうかと震えた記憶が…
そんな人に恥じない仕事を自分もしなければ! とも思いました…

時間と自分の全てを懸けて作りだす物に対する自信と愛情。
そして、この方も未だなお自分の旅を続けておられます。
「 まだ改善の余地があるのでは? もっと上手くこしらえることが出来るんじゃないか? もっともっと…」

娘と偶然にも同じ名前の木… 何か運命的な出逢いでしたよ。
今手元にある笊で一生使えるのなら、今回の笊は私が生きているうちに使うことないんじゃないのか???

娘達に渡すつもりです(^_^) 蕎麦屋をするかわかりませんが(笑)

そしてこの笊を手渡すとき
しわくちゃな顔で言っちゃうんだろうなぁ


「昔、このスゲー笊を作った職人はなぁ」 ってね…

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Posted by そのじ at 00:43│Comments(2)蕎ノ字道具
この記事へのコメント
職人が作る最高の道具を使う最高の職人!

職人にとって、道具は命ですね!
素敵なお話に感動しました♪

今度、じっくり見させてください!
Posted by だし屋 at 2012年07月02日 06:00
だし屋さん。

蕎麦を盛るっていったら、「えっ⁉」ってビックリされました(笑)

何処のそば屋にもない笊。
一生使える笊。

良い出会いでしたよ(`_´)ゞ
Posted by そのじそのじ at 2012年07月02日 21:57
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    コメント(2)